飲食店の経営者が知っておきたい最低賃金について
飲食店の経営している経営者やオーナーの方等は、お店の経営が軌道にのってくるとパートタイマーの方やアルバイトの方を雇うことになると思います。
このパート代・アルバイト代は、いくらでも良いという訳でなく、最低限支払わなければ金額は決まっています。
そこで、今回は経営者の方も知っておきたい、最低賃金等について考えていきます。
飲食店の開業や既に飲食店を始めている経営者の方の参考になれば幸いです。
賃金とは
賃金とは、労働基準法では給料だけでなく、「賃金・給料・手当・賞与・その他名称の如何を問わず労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいう。と規定されています。
つまり、言い換えると通常支払われることになる基本給以外にも、役職手当・時間外手当・住宅手当なども賃金にあたることになります。
当然、賞与や退職金なども就業規則や労働契約などであらかじめ、定められているのであれば使用者は支払う必要がありますので、賃金にあたることになります。
平均賃金とは
平均賃金とは、従業員などの労働者が受け取ることになる1日あたりの金額をいいます。
平均賃金の求め方
平均賃金の求め方については、原則としてその金額を算定すべき原因が発生した日、解雇予告をした日や休業が開始される日の直前3ヶ月に支給された賃金の総額を同じ期間の総日数で割った金額が、平均賃金の算出方法になります。
つまり、
賃金総額÷総日数ということになります。
平均賃金は、解雇予告手当の支給や休業手当の支給・年次有給休暇を取得した時の賃金・災害補償・懲戒処分などの減給額の基準の賃金として使用されることになります。
最低賃金とは
最低賃金とは、最低賃金法で定められおり賃金の最低額を保証することにより、労働者の生活の安定を図っているものになります。
最低賃金法の労働者は、労働基準法に定められた労働者であり当然、パートタイマーの方やアルバイトの方も含まれます。
したがって、労働契約で最低賃金を下回る契約をしたとしても、その部分は無効扱いとされ最低賃金法で規定されている賃金で契約したものとみなされることになります。
ただし、都道府県労働局長の許可を得ることで、使用期間中の者・軽易な業務に従事している者などは最低賃金を下回る賃金を設定することができます。
割増賃金とは
事業主などの使用者は、労働基準法37条で規定されているとおり、労働者の時間外・深夜・休日労働などに対して、通常の労働時間又は労働日の賃金計算額の25%〜50%の範囲で政令で定められている割増率を上乗せした割増の賃金の支払う義務を負います。
労働基準法37条とは
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
と規定されています。
1日8時間・週40時間を超えた場合
1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働者を働かせた場合における、労働の割増率は25%以上とされています。(月60時間以上を超える場合は50%以上の割増率になります。ただし、平成31年4月1日までの間は、中小企業には適用が猶予されています。)
また、午後10時〜午前5時までの深夜労働をさせる場合についても、割増率は50%とされています。
割増率のまとめ
・時間外労働25%以上
・時間外労働(月60時間を超えたとき)50%以上
・時間外労働が深夜に及んだ場合50%以上
・休日労働35%以上
・休日労働が深夜に及んだ場合60%以上
まとめ
飲食店の経営者の方が、従業員やパートの方・アルバイトの方を雇用する場合については、最低賃金や時間外労働をさせた場合等の、割増賃金などについてしっかりと把握しておくことが大切になります。
今回は、飲食店の経営者の方等が知っておきたい賃金にまつわることについて書いてきました。
飲食店の開業を検討している方、飲食店のオーナーさんなどの参考になれば幸いです。