飲食店営業許可を行政書士に依頼した場合の費用の相場

飲食店やバー等を始めたいと思った場合は、飲食店営業の許可を取得する必要があります。

飲食店営業の許可を取得しないまま、営業を始めてしまうと法令違反で罰せられることになります。

飲食店営業許可申請や深夜酒類提供飲食店営業の届出は、お店の所在地を管轄する保健所や警察署に対して行うことになります。

そのため、自身では書類作成等が難しいと感じる方は、専門家である行政書士に依頼する方法も有効な選択肢となります。

そこで、今回は飲食店営業の許可を行政書士に依頼した場合の費用の相場について考えていきます。

飲食店経営を検討している方の参考になれば幸いです。

バー等の深夜0時以降もお酒を提供したい場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になります。

深夜酒類提供飲食店営業の届出を行政書士に依頼した場合については、以下の記事で解説をしています。↓

深夜酒類提供飲食店営業の届出を行政書士に依頼した場合の費用の相場

飲食店営業許可とは?

飲食店営業許可とは、新しく食堂、レストラン、カフェ等の飲食店を始めるような場合は、食品衛生法に基づいて、営業所の所在地を管轄する生活衛生監視事務所に申請書類を提出し、許可申請手続きを行うことをいいます。

そのため、飲食店営業許可の根拠法は、食品衛生法になります。

飲食店営業許可を取得するタイミングや場所は?

飲食店営業許可が必要になるタイミングは、上述したとおり、カフェやバー等を開業する時に必要になります。

飲食店許可を取得するためには、保健所に書類を提出後、保健所職員の方の現地調査があり、、二層シンク等の設備要件を満たしているか、調理をする場合は排水溝等が図面通りに設置されているか等の確認を受けることになります。

そのため、内装等も固まっている状態で申請することになります。

お店の所在地を管轄する保健所で申請

飲食店営業許可の取得を検討した段階で、図面等を持って保健所で事前相談を行うことになります。

飲食店営業許可を取得するためには、二層シンクや洗面設備等の設備要件等を満たしている必要があるため、事前に図面を持って相談することで、安心して進めていくことができます。

飲食店営業許可を取得できる人は?

飲食店営業許可申請は、行政書士に依頼しない場合は、飲食店営業を経営をしようとしている事業者個人もしくは法人が申請者に該当します。

ただし、食品衛生法には以下の欠格事項がある場合は、許可を取得することができないと規定されています。

1.食品衛生法又は同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者

2.食品衛生法第55条第1項又は第56条の規定により許可を取り消され,その取消しの 日から起算して2年を経過しない者

また、法人の場合は役員も上記2つに該当している場合は、許可を取得できませんので注意が必要です。

飲食店営業許可を取得するための要件は?

飲食店営業許可を取得するためには、設備等の要件を満たす必要があります。

以下に飲食店営業許可を取得するための要件を記載していきます。

食品衛生責任者の設置

飲食店営業を行うためには、食品衛生責任者を必ず設置する必要があります。

この食品衛生責任者は、以下の条件を満たしている方がなれます。

1,食品衛生監視員又は食品衛生管理者になる資格要件を満たす者(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師あるいは医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者 等)

2,調理師、製菓衛生師、栄養士又は船舶料理士

3,と畜場法第7条に規定する衛生管理責任者若しくは同法第10条に規定する作業衛生責任者

4,食鳥処理衛生管理者になる資格を有する者

5,食品衛生責任者養成講習会修了者

上記、条件を満たしている方が食品衛生責任者になることができます。

この条件のうち5の食品衛生責任者養成講習会修了者は、どなたでも受講することができ、資格を取得することができますので、1~4の条件に該当する人材がいない場合は、講習を取得することで食品衛生責任者の資格を取得することができるようになります。

また、飲食店許可申請の際に、食品衛生責任者養成講習会の予約が取れない等で、講習会が受講できない場合は、申請時に必ず受講することを誓約する誓約書を提出することで、申請を受け付けてもらえます。

洗浄設備について

食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯、蒸気等を供給できる使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備を準備する必要があります。

給水設備について

水道事業等により供給される水又は飲用に適する水を施設の必要な場所に適切な温度で十分な量を供給することができる給水設備が必要になります。

つまり、水道水が流れることが必要になるということです。

そのため、水道水以外を使用する場合は、水質検査の実施及びその成績書が必要になります。

手洗い設備について

・従事者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数用意すること。

二層シンクとは別に手洗い設備が必要になるため注意が必要です。

調理場の区画について

調理場は営業専用であることが必要です。

また、客室と調理場は明確に区別されている必要があります。

調理場の構造、床面及び内壁の構造、排水設備について

ネズミ及び昆虫の侵入を防止できる設備があることや、十分な換気、照明設備がある必要があります。
また、床面、内壁及び天井は、清掃しやすい材質、構造であること、(施設の衛生管理のために床面及び内壁の清掃に水を流す必要がある場合)床面、内壁は、不浸透性の材質で作られ、床面には十分な機能を有する排水溝などの排水設備がある必要があります。

ただし、バー等を開業する場合で、調理をせずに乾きものを提供する場合は、排水設備は求められません。

トイレ、更衣場所、清掃用具について

トイレには、専用の手洗い設備があり、更衣場所が必要になります。

その他、各地方自治体によって、要件等が異なっている可能性もありますので、条例等にも注意しながら条件を整えていく必要があります。

飲食店許可申請に必要な書類は?

飲食店許可申請をするためには、以下の書類が必要になります。

・営業許可申請書 1部

・営業施設の構造及び設備を示す図面

・水質検査成績書(井戸水等を使用する場合)

・食品衛生責任者の資格を証する書類

・申請者が法人の場合、登記事項証明書(最新の情報が反映されたもの)

上記書類が必要になります。

営業許可申請書について

営業許可申請書とは、申請者の情報等を記入していく書類になります。

この営業許可申請書は、各地方自治体のホームページからダウンロードすることができます。

営業施設の構造及び設備を示す図面について

営業施設の構造及び設備を示す図面とは、店舗の設備等を記載する書類になります。

例えば、大阪市では以下のような書式が公表されています。

営業施設の構造及び設備を示す図面

大阪市における飲食店許可申請の流れや書類の注意点、申請手数料等については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓

飲食店営業の許可申請の流れ(大阪市の場合)

飲食店許可を行政書士に依頼した場合の業務範囲について

自身で飲食店許可の手続きを行うことが難しいと感じた場合、行政書士に依頼することになります。

行政書士に依頼した場合、どのようなことをサポートしてもらえるのか気になるところだと思います。

実際に行政書士に依頼した場合に行う主な業務は、

・飲食店許可を取得することができるかどうかの要件チェック

・飲食店許可を取得するための書類の作成、収集

・保健所に飲食店許可申請書類の提出

・保健所の現地調査の立会い

・営業許可書の受領

等を行うことになります。

また、それ以外にも飲食店許可に付随する他の許可や届出(例:深夜酒類提供飲食店営業の届出、風俗営業許可等)のアドバイスや相談にも対応してくれます。

今後の事業展開を考えた時に、行政書士と繋がりがあれば様々なアドバイスを受けることができるので、開業段階の飲食店許可の取得から繋がっておくと、安心して事業を進めてくことができます

飲食店営業の許可を行政書士に依頼するタイミングは?

飲食店営業の許可を行政書士に依頼するタイミングは、飲食店をオープンする物件が見つかったら、すぐに相談することが最も良いタイミングです。

内装が完了した後に、設備の要件を満たしていないとなった場合は、再度準備が必要になるため、初期段階で相談しておくと効率的に飲食店許可を取得することができます。

飲食店営業許可を行政書士に依頼した場合の費用の相場は?

飲食店営業許可に限らず、行政書士事務所によって設定している報酬額が異なっています

それらを考慮しても、飲食店営業を行政書士に依頼した場合の費用の相場は、概ね3万円~6万円の間に落ち着くと考えられます。

具体的な事務所で報酬額を見ていくと、以下のような事務所もあります。

某行政書士事務所Aのケース

某行政書士事務所Aでは、報酬を50,000円に設定しています。

しかし、居ぬき物件の場合は、費用を少し安くし40,000円に設定し、2つのパターンの報酬形態を設定しています。

某行政書士事務所Bのケース

某行政書士事務所Bのケースでは、飲食店営業許可の報酬を一律50,000円に設定しています。

しかし、深夜酒類提供飲食店営業の届出等と他の許認可申請とセット申込みの場合は、飲食店営業許可の報酬を30,000円に割り引いて報酬を設定しています。

このように行政書士事務所でも報酬形態が異なりますので、費用だけで決めず、本当に信頼できる行政書士事務所かどうか、実際に話をしてみて決めることが失敗しない行政書士事務所を選ぶポイントになります。

相みつサイトには注意すること

最近は、行政書士事務所に紹介することを前提とした相みつサイトが多くなってきています。

相みつサイトは、行政書士事務所に連絡がいくように見せかけ、自社の相みつサイトの会社に連絡がいくようになっています。

そのため、相みつサイトから行政書士事務所に紹介の連絡がいき、相みつサイトは業務を受任した行政書士事務所が得た報酬の何パーセントかを紹介料としてもらうシステムにしてます。

相みつサイトを経由して依頼することのデメリットを以下に記載していきます。

相みつサイト経由で行政書士に依頼するデメリット

1,報酬が割高になる可能性

上述したとおり、行政書士事務所の報酬から何パーセントかを紹介料として、相みつサイトがもらうため、そもそもの報酬設定を高くしてくる可能性があります。(このようなことから倫理的には紹介料の支払うことはあまり推奨されていません。)

2,新人行政書士が受任する可能性

ある程度、売れている行政書士事務所になると相みつサイトからの紹介を断るようになります。

理由は、上記1で記載したとおり、事務所報酬から紹介料として支払う必要があるため、割に合わないと考えるからです。

また、見積前提の話になるため価格競争になり、こちらも割に合わないと感じるからです。

そのため、見積サイトで依頼した場合は、低い報酬でも受任してくれる行政書士事務所になります。そうなると自ずと仕事が欲しい行政書士事務所が多くなり、相対的に新人にあたる可能性も高くなります。

このような理由から、相みつサイト経由で依頼するよりも、自社サイトをもっている行政書士事務所に直接連絡して、実際に話を聞いたうえで、信頼できる行政書士事務所を選択することをお勧めします。

結果として見積サイト経由で行政書士事務所を選ぶより、費用が高くなるかもしれませんが、行政書士としての質等を鑑みた時に、コストパフォーマンスが高くなります。(質よりも費用を抑えたいという場合は、見積サイト経由でも良いかもしれませんが。。。)

まとめ

今回は、飲食店営業許可を行政書士に依頼する場合の費用等について考えてきました。

飲食店営業許可を依頼する場合は、専門家である行政書士に依頼すると効率的に手続きをすすめていくことができるようになります。

ぜひ、飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店営業の届出を検討している方は、行政書士に相談してみてください。

今回の記事が飲食店営業を始めようとしている事業者の方の参考になれば幸いです。